第1回:激変した新型モデル
真っ白な気持ちで覗いてみよう
みなさんはじめまして。4×4専門ライターの河村です。
今回から連載で新型チェロキーの試乗記をお届けしようと思います。
新しいチェロキー、みなさんはどう思われましたか?
「斬新」「モダン」「乗用車っぽい」などなど、
いろんな意見があると思います。
私は2007年に発売された現行ラングラーの2ドアルビコンの走りに
ひと目惚れして入手したコテコテのオフローダー。
正直に言いますとチェロキーの第一印象は
「これでオフロード走れるのかな?」というものでした。
クルマの評価は相対的なものです。
その人の考え方や乗り継いできたクルマによって評価がガラリと変わることも珍しくありません。
昔からのチェロキーを知る人には「丸くなった」「乗用車っぽくなった」
と見えるかも知れませんし、ずっと乗用車に乗ってきた人には「アグレッシブだ」
「ローレンジやデフロック搭載なんてなんだかゴツイ」と感心する反面、
「そんな機能を使えこなせるのかな?」と不安に思われる人もいるかも知れません。
でも新しいクルマを見つめる時、それら過去の「フィルター」が邪魔になることもあります。
例えば2代目XJチェロキー。
初代に比べ大幅に小さくなり、骨組みもラダーフレームからモノコック構造へと変わりました。
4WDシステムも大きく変わり、ボディーもパワートレインも刷新され、
全く別のクルマになったのです。
おそらくフルサイズの初代チェロキーを愛していたユーザーにとっては、
受け入れ難い変化だったはず。
初代SJチェロキー(1974年〜1983年)
2代目XJチェロキー(1984年〜2001年)
ところが400kgも軽量化された新世代チェロキーは市場で高い評価を受けます。
スタイルよし、オンロードの走りもオフロードの走破性もよし。
エポックメイキングな4×4としてその後17年の長きにわたって販売され続けたのです。
大きく変わることで歴史を切り開いた好例といえます。
激変した新型モデル
では新しいチェロキーはどうなのか? ハッキリ申し上げましょう。
今までのチェロキーとは全くの別ものです。
じゃあ「古きよき伝統はどうなったのか? 受け継がれたのか失われたのか?」
というのがジープファンにとって気になるところです。
でもその前に新しいクルマが「どんな考えで生まれたのか」を理解していきましょう。
「なぜ、このようなパッケージになったか」「どうしてその機能が必要なのか」
「それはどんな風に働くのか」を知ることもとても大切だからです。
クルマを論じるのはその後でも決して遅くはありません。
そしてこの連載では「免許を取って初めてクルマを選ぶ人」でもわかるように
注力したいと思います。
そのための注釈なども増えるとは思いますが、
おそらくこの連載を読み終える頃には新型チェロキーについて仲間に自慢できるくらいの
プチ博士になっているでしょう。
その時、最初に思い描いたイメージと違うのかどうか、
思い出してみるのも楽しい作業だと思います。
ここでひとつ、チェロキーを知る人に過去をリセットするひとつのキーワードを
お渡ししたいと思います。
それは国内販売モデルには現れなかった「ネーミング」の変化です。
実は皆さんがよく知っている四角い2代目チェロキーのあと、2002年から発売された
3代目チェロキーと2008年からの4代目チェロキーは
本国で「リバティ」の名で販売されていました。
本国では名前を引き継いでいなかったのです。
3代目KJチェロキー(北米では初代リバティ)2001年〜2007年
4代目KKチェロキー(北米では2代目リバティ)2008年〜2013年
ところが今回発売された最新型はアメリカ本国を含む全世界で
「チェロキー」の名が冠せられたのです。
ここにクライスラーの「本気」が感じられます。
「再びチェロキーで打って出るぞ!」と。日産がGT-Rを復活させ、
トヨタがハチロクを新型スポーツカーのネーミングに採用したように、
開発陣にとって、そしてアメリカ人にとって
“ジープ・チェロキー” とはとても大切なネーミングなのです。
そして2代目の時と同じように、先代の面影すら感じないほど大きくチェンジさせたのです。
新型KLチェロキー リミテッド(日本では5代目)2014年〜
さあ、では新型はどのように変わったのか? 詳しくは次回をお楽しみに!!
と申し上げたいところですが、
きっと「前置きだけじゃないの!」と怒られますね(笑)
そこで、今後連載していく中でいくつかキーになる言葉を皆さんにお預けしておきましょう。
主に先代モデルから変わった部分です。
専門用語も敢えて残しているのでビギナーの方にはちょっと難しいかも知れませんが、
次回以降順解説して参りますので
それまでは想像力を膨らませながら楽しみにお待ちください。
先代(4代目)KKチェロキーから大きく変わったポイント
・伝統の縦置きエンジン+FRベースの駆動系から横置きエンジン+FFべースの駆動系へ
・サイズは全長・全幅が大きくなり、全高は低くなった。
・車両重量はさほど変わっていない。
・エンジンは3.7リッターV6から3.2リッターV6及び2.4リッター直4の2本立てに
・燃費(JC08)が6.7km/リッターから8.8km〜10.4km/リッターに大幅向上
・燃料がハイオクガソリンからレギュラーガソリンに
・ハイレンジ:ローレンジのギア比が 1:2.717から 1:2.917へ
ラングラーのルビコンモデルに続く低いローレンジギア比に。
・チェロキーとして初めて2WDモデルが日本に導入された
・ミッションが4速ATから9速ATになった
・4WDシステムが任意セレクト式からオンデマンド式になった
・4WDモデルにオフロードや雪道の走行モードを選べる「セレクテレイン」が装備された
・一部モデルにジープ初、オフロードのオートクルーズ機能が装備された
トヨタのランドクルーザー200やプラドの一部モデルに装備される
ハイテク機能とよく似た働きをする
・一部モデルにリアデフロックが装備される
トヨタのランドクルーザー200、プラド共に国内モデルには装備されない
・自車の停止や再スタートまでアシストするアダプティブクルーズコントロールがついた(一部グレードはオプション)
・パーキングブレーキがレバー式から電子式に
・前面衝突警報機能がついた(一部グレードはオプション)
・車線逸脱警報機能がついた(一部グレードはオプション)
・縦列および並列駐車のパークアシスト機能がついた(一部グレードはオプション)
・助手席は倒しても開けても便利に
などなど。あげたらキリがないのですが、とりあえずこのあたりにしておきましょう。
それではまた!
河村 大
【プロフィール】
1969年生まれ、東京都在住。
四輪駆動車を中心にライティングや映像制作を行うフリーランス編集者。元4x4MAGAZINE編集長。
趣味は犬の散歩、公園散策、林道探索、リバーカヤック。愛犬はアメリカンコッカー。
4WDの車歴はジムニーJA11、ランドクルーザー40、パジェロJトップ、ビークロス、ラングラーJKルビコン、X3など。
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