HEMIという名を聞けば、今でも大観衆の歓声が沸き起こるデ・ジャヴを覚えるかもしれない。かつて、NASCARストックカーレースで無敵を誇った伝説のエンジン、426HEMI。その登場から40年以上を経てもなお、クライスラーの乗用車エンジンにおいて、HEMIは最強のパワーとトルクを誇り続けている。300C ツーリングには、その血統を継ぐ5.7L V型8気筒 HEMI®エンジンが存在感を光らせる。
レースシーンではエンジンのパワフルさにスポットが当たるものだが、300C ツーリングももちろん、HEMIの名に恥じないパワーを生み出す。5.7L V型8気筒 HEMI®エンジンの最高出力は340ps/5000rpm、最大トルクは53.5kg・m/4000rpmと、他のステーションワゴンをゆうに凌いでいる。参考までにドイツ車A(4.2L V8)は335ps、42.8kg・m。ドイツ車B(3.0・直6)は258ps、30.6kg・mである。 また、300C ツーリングのHEMIエンジンは圧倒的なパワーに加えて、緻密で細やかな配慮と静粛性も合わせ持つ。運転状況に応じて4つのシリンダーを可動・休止させる可変シリンダーシステム(MDS:Multi-Displacement System)が組み込まれ、市街地走行や加速時には8気筒すべてがパワーを発揮し、ハイウェイなどでのクルージング走行時には、4気筒が停止してスムーズで高効率な走行に切り替える。
これにより、欲しい時にはHEMIエンジンのパワーを堪能し、抑えたい時には無駄な出力を省くことが可能になり、最大約20%の燃費向上を達成している。 さらに、3.5L V型6気筒 エンジンにおいても、最高出力249ps/6400rpm、最大トルク34.7kg・m/3800rpmという優れたパワーと、コストパフォーマンスの両方を享受できる。
300C ツーリングは、こうした胸躍る走りを実現する一方で、ステーションワゴン本来の強みであるカーゴスペースの向上にも、手を抜くことはない。クライスラーはミニバン創りの名手としても大きな評価を得ており、そのノウハウは300C ツーリングにしっかりと活かされている。リフトゲートの開口部は低く広く、荷物の積み降ろしがスムーズだ。タブを引くと簡単に倒れるリアシートは、アレンジの幅を広げる60:40の分割可倒式で、どんな形状の荷物にもフレキシブルに対応する。リアシート使用時の300C ツーリングの荷室容量は630リッター、さらに、リアシートを折り畳んだ時の荷室容量は、1602リッターに増加し、最大限のカーゴ スペースを確保しています。