自動車の歴史は19世紀終盤に幕を開け、110年余りの時が経ちました。革新的なコンセプトを持つ自動車を開発したいというエンジニアたちの情熱は、いつの時代も同じです。ダイムラー・クライスラー社が世に送り出す自動車は、常にエポックメイキングな存在であり、その時代の象徴となったのです。
1886年、カール・ベンツは、世界初の3輪ガソリン自動車「ベンツ・パテント・モーターカー」のテスト走行を行いました。エンジンは984cc、最高速度は16km/h。そして同年、ゴットリープ・ダイムラーとウィルヘルム・マイバッハも462ccのエンジンを動力源とした4輪車「ダイムラー・モーター・キャリッジ」の開発に成功したのです。
1901年には「メルセデス・ベンツ」が誕生しました。この「メルセデス」の名は、ニースで開催された自動車レースで、ダイムラー社が付けたレーシングカーの名称でした。フランスにおけるダイムラー車の販売を手がけていたエミール・イェリネックの末娘の名にちなんで名付けられた「メルセデス」の名は、その気品溢れるフォルムと革新的なまでの走りで人々を魅了し、現在まで脈々と受け継がれているのです。
一方、ウォルター・クライスラーは1924年に6気筒エンジンを搭載した「クライスラー・シックス」を発表、同モデルの生産に着手しました。今ではクロスカントリー4WDの代名詞的存在となったジープは1941年に誕生。その後、軍用から民間用へと発展を遂げたジープ・ブランドは1987年にクライスラー社にわたり、現在に至るまでトップブランドとして絶大な支持を得ています。
自動車の歴史と共に歩んできたダイムラー・クライスラー社の歴史。それは現在、ドイツのメルセデス・ベンツミュージアムとアメリカ合衆国のクライスラー博物館に展示された、時代を代表する多くの自動車が物語っています。これらは「自動車の歴史」における重要な遺産であると同時に、ダイムラー・クライスラー社の哲学と技術革新によって作られた、人類の遺産とも言えるのです。
ジープのラグジュアリー化を実現した高級ステーションワゴン「ワゴニア」(1962年)
1998年、ダイムラー・ベンツ社とクライスラー社が合併、ダイムラー・クライスラー社が誕生した。株券に創始者3人が描かれている
ドイツ・シュツットガルト本社
アメリカ・ミシガン州アーバンヒルズ本社